注文住宅用の土地を購入する際の注意点を解説

 

1.はじめに

注文住宅を建築してみたいと考えた時に、既に土地を所有している場合は好きな工務店やハウスメーカーを選定の上で注文住宅を建築されるかと思いますが、土地を所有していない場合の注文住宅建築はどう対応するのが良いでしょうか?注文住宅を考えた時に、「住宅展示場に見に行く」「工務店やハウスメーカーに相談する」「不動産仲介会社に相談する」などの行動を取られることと思いますが、理想の住宅を建てられるかどうかは、最初のステップである「土地探し」が非常に重要です。今回は注文住宅の成功のポイントである「土地探し」を行う上での注意点についてご説明していきたいと思います。

2.地中埋設物に関する注意点

2-1.地中埋設物とは
土地の売買契約後、購入した土地の地中から出土する廃棄物などをいいます。地中埋設物の具体例としては、排水管及び浄化槽、アスファルト片、コンクリートガラ、建物の基礎や廊下、陶器片、浴室といった大きなものから、木くず、タイル、ビニール片、臭気土、腐食土などの小さなものまで、ありとあらゆるものがあります。

2-2.地中埋設物によるトラブル
地中埋設物が見つかった場合、その処分にかかる費用は施主(土地の買主)が負担することが一般的です。土地の買主は将来建物の建築や増改築をする場合に、地盤改良工事を行ったり、産業廃棄物を撤去するために費用を負担しなければなりません。売買契約時には、地中埋設物がないものとして土地の売買代金の合意をしているのが通常でしょうから、土地の買主としては、不測の事態といえるでしょう。時には、土地の買主が売主に損害賠償を請求するなんてことも少なくありません。

2-3.トラブルを防止するには
従前の所有者や業者が、正しく処分する費用や手間を惜しんで埋めてしまうこと等により発生してしまいます。土地の売主は費用や手間を惜しまずにきちんと確認し処理しましょう。さらに、このような事態が起こった場合の、費用・対応を事前に解体業者に確認しておくことも大切です。解体業者と契約をする前に、実際に担当者に確認をしておくとトラブルの可能性は格段に減ります。ぜひ事前の確認を行ってください。

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3.敷地境界線に関する注意点

3-1.敷地境界線について
敷地境界線は、土地と土地の境界線のことです。残念ながら敷地境界線をめぐるトラブルは少なくありません。土地を購入する際だけでなく、境界線にフェンスや塀を建てる際にも事前に敷地境界線の境界確定測量を行い、境界線を明確にしておくことが必要です。

3-2.境界線トラブルを防ぐには
・境界線トラブルを未然に防ぐには専門家への相談が必要不可欠です。
・土地家屋調査士への相談が最善の方法です。
・土地境界確定測量と地積更正登記を依頼しましょう。
・土地家屋調査士は、依頼のあった土地について、公図や地積測量図、登記事項証明書などの閲覧調査をしてくれます。
・また、現状測定も行い調査資料との矛盾がないか確かめます。
・矛盾があれば事前に準備することができます。

4.水道引き込みに関する注意点

4-1.水道引き込み費用
水道引き込みには「給水管引き込み工事」「屋内配管工事」の2つがあり各々費用がかかります。「給水管引き込み工事」は、埋設されている水道管から住宅の水道メーターまでの引き込み工事になります。「屋内配管工事」は水道メーターから蛇口までの工事になります。

4-2.「給水管引き込み工事」の費用について
給水管引き込み工事は、ケースによって費用が大きく変わることがあります。
・比較的安価に済むケース
隣接する道路に水道管が通っている場合は、工事が容易なため安価に工事ができます。
・高額になる可能性があるケース
隣接する道路に水道管が通っていない場合、自宅までの距離が長くなる分だけ水道管の延長が必要になるため工事費が高くなります。

4-3.口径について
一般住宅の引込管の口径は、13mm、20mmなどが一般的です。最近は、一定の水圧を得るために20mmで引き込むことが多い傾向ですが、基本料金に違いが生じます。既に13mmで引き込まれている場合で、20mmに変更する場合も費用がかかりますので注意が必要です。

5.地盤改良に関する注意点

5-1.地盤改良とは
家を建築する前に地盤を調査しますが、調査結果によって地盤改良が必要になるケースがあります。地盤改良は、表層地盤を固めたり、杭打ちを行うことにより軟弱な地盤を改良することです。地盤改良工法は、主に「柱状改良」「表層改良」「鋼管杭工法」の3種類があります。

5-2.地盤改良の注意点
地盤調査の結果、地盤改良が不要と判断された場合にも実施した方が良いと言う意見もあります。地盤改良を行うにあたっては、下記もポイントとして実施要否を判断した方が良いでしょう。

1)将来、土地を売却する際に杭やセメントの撤去工事が必要になる。
2)費用がかかる。
3)地盤調査を複数社に依頼して必要性を見極める。

5-3.地盤改良が不要な土地とは
地盤が強い土地であれば地盤改良は不要になりますが、どのようにすれば見極められるでしょうか。一般的に下記の方が地盤が強いと言われています。

1)高台土地や丘陵地
2)「山」「丘」などが入っている地名
3)川や水路から離れた場所

また、土地を選定する場合は、下記なども参考にされると良いでしょう。

1)ハザードマップで被害予測を確認しておく。
2)昔の地図で対象の土地が何だったかを調べる。
3)過去の災害履歴などを調べる。

6.建築条件付きの土地

6-1.売地の種類
売地には「建築条件なし土地」「建築条件付き土地」があります。「建築条件なし土地」は好きな施工業者で住宅を建築することができます。「建築条件付き土地」は決められた施工業者にて住宅を建築することになります。いずれも注文住宅を建築できますが、「建築条件なし土地」の方が自由度の高い住宅建築が可能です。

6-2.「建築条件なし土地」のメリット、デメリット
「建築条件なし土地」は自由な住宅建築が行えるメリットがある一方で、施工業者を選定する手間がかかるなどのデメリットもあります。

1)メリット
・好きな施工業者が選定できる。
・デザイン、間取りなども柔軟に対応ができる。
・施工業者との建築請負契約までの期間を気にしなくて良い。

2)デメリット
・施工業者探しに手間がかかる。
・要望が多くなるにつれて費用が高くなる。
・建築完了までに時間がかかる。

6-3.「建築条件付き土地」のメリット、デメリット
「建築条件付き土地」は建売住宅より柔軟な住宅建築が行えるメリットがある一方で、施工業者が限定されているため「建築条件なし土地」に比べて自由度が低いなどのデメリットもあります。

1)メリット
・決められた施工業者のプランから選べるため手間が省ける。
・予め費用が把握しやすい。
・土地が一般的な相場より安い場合がある。

2)デメリット
・決められた施工業者のプラン内での選択になるため制約が生じる。
・施工業者の仕様、工法の制約を受ける。
・施工業者との建築請負契約までの期間に拘束される。

6-4.理想の注文住宅を成功させるには
理想の注文住宅を手に入れたい方には、「建築条件なし土地」を購入して注文住宅を建築する方が向いているのではないでしょうか。一方、立地条件の良い場所は「建築条件付き土地」になっていることも多いため、いかに良質な土地を手に入れられるかもポイントになります。良質な土地で好きな施工業者で建築して、理想のマイホームを手に入れてみてはいかがでしょうか。

7.まとめ

注文住宅を建築したいと考えた時には、特定の建築業者で建てると決まっている場合を除いては、まずは土地を探すことから行動することをおすすめします。住宅を建築する土地が決まれば、土地の地型や地域性、予算などを考慮してベストな建築業者を選ぶことができます。住宅の仕様は変更できても最寄駅や駅からの距離、学区、周辺環境などは変えることができませんし、何よりも土地は住宅を検討する上での最も重要な基準となり、且つ予算の中で最も大きなウェイトを占めるため資金計画を検討する上でも大変重要です。これらのことより、注文住宅づくりは土地探しから始めて納得する土地を購入することがコツであり、成功の鍵を握っていると言えます。

土地探しの注意点は記載した通りですが、実際には土地と注文住宅をそれぞれ検討するのは大変な労力を費やします。この労力から注文住宅を途中で諦めて建売住宅やマンションに変更される方も多いようで、まだまだ注文住宅はハードルが高いと言う先入観が強いようです。土地探しを第一に考えた時には、住宅を建築したい地域の不動産仲介会社に相談することが一般的ですが、好きな建築業者で注文住宅を建築するなら建築条件なしの土地を紹介してもらうよう伝えると良いでしょう。

この記事を書いた人

渡辺 知哉

設計事務所・大手ハウスメーカー・不動産ベンチャーを渡り歩き、ランディックスにジョイン。 設計事務所時代は戸建住宅をメインに設計しつつ、その他はビル・マンション・オフィス・ショップ等広く設計業務を担当。 ハウスメーカーでは営業・設計・IC業務を兼務。ベンチャーではリノベーションのワンストップサービス業務を担当。営業・設計の両面からサポートします。