二世帯住宅の新築を検討する時、誰もが気になるのが建築コストです。できるだけコストを抑えたいと考える方は多いでしょう。本記事では、ローコストで二世帯住宅を建てるポイントやさらにコストダウンする方法や、必ずしもコスト抑制にこだわるべきではないポイント、注意点を解説します。

ローコストで二世帯住宅を建てるポイント

二世帯住宅をローコストで建てるには、どれだけ建築コストを抑えられるかがポイントです。上記に示す5つの観点から、費用を抑えられそうな部分について検討しましょう。

1.凹凸のないシンプルな形にする

ローコストで二世帯住宅を建てる時は、建物に凹凸のないシンプルな形にするのがおすすめです。外観にこだわるとどうしても複雑な形になってしまい、コストがかかってしまいます。凹凸がない総二階の住宅は、コストを抑えやすいのです。
総二階の家

総二階とは、1階と2階の面積とつくりがほぼ同じように作られている住宅のことです。1階と2階に分けた二世帯住宅にも採用されることもあります。

基礎や屋根、外壁の施工面積が少なくなる分、材料や工事の手間も減らせるため、建築コストを抑えることが可能です。同じ総二階であっても、凹凸が多い場合では、外壁の施行面積が増え、材料の工事の手間も余分にかかるため、コストを抑えることができません。ストを最小限まで抑えるのであれば、なるべく正方形に近くすると良いでしょう。

部分二階とどちらがお得?

部分二階とは、1階よりも2階の面積が小さく作られている住宅のことです。一般的に、1階にはリビング・ダイニングなどスペースを広く取り、2階は子ども部屋や寝室が配置されます。

それぞれの建物を簡単な図形にすると、以下のようになります。外観、2階、1階の順に並んでいます。

トータルの面積は、総二階8・部分二階6となり、部分二階は総二階の4分の3の面積です。次に外周部分の長さを比較すると、総二階16・部分二階14となります。どちらも1階部分は同じ面積になるので、平面図にした際には、基礎と屋根も同じ面積になります。

総二階は、部分二階より外周がわずかに長いだけで、基礎と屋根の面積が同じで、全体の面積が25%増えるため、コストパフォーマンスが良いといえるのです。

2.共用スペースを増やす

共用スペースを増やすと、ローコストにつながります。例えば、キッチンや浴室、トイレ、玄関といった設備を可能な限り共用すれば、最大で設備コストを半分まで減らせます。コストを抑えるために、費用が高額になりがちな設備を優先的に共用するのも1つの方法です。

また、二世帯住宅の種類によって、共用の範囲に違いがある点も念頭に入れましょう。共用スペースがほとんどなければ、別の方法でコストを下げるしかないからです。

二世帯住宅は、以下の3種類に分類するのが一般的です。

  • 完全共有型
  • 一部共用型
  • 完全分離型

完全共有型は、水回りや玄関といった設備のほとんどを共用するので、最もコストが抑えられるタイプです。一部共有型は、部分的に設備などを共有するため、共用の範囲によってコストに開きがでます。これらに対して、共用する設備が全くない完全分離型は、共用スペースを増やすことはできません。したがって、共用スペースを増やせるのは一部共用型になります。生活時間のズレや利用頻度などから、何を共用するのかを考えていくと良いでしょう。

3.水回りをまとめる

水回りをまとめて設置することは、ローコストで二世帯住宅を建てるポイントです。キッチンや洗面所、浴室、トイレを極力近い場所にまとめると、その分配管が短くなり、配管工事にかかるコストを削減できます
また、上下階の水回りの位置を揃えるのもコスト抑制につながります。上下階で揃えることで、床下に配管を通す必要がなく、上下に通すだけで済むためです。また、給排水の音の発生源が集中するので、寝室などの静かな環境を必要とするスペースから離せるというメリットもあります。

4.窓のサイズや数を検討する

窓のサイズを小さく、数を減らすことで外観がシンプルになり、コストを抑えるのに有効なポイントです。
大きな窓をリサイズする考えとして、一部の窓をFIX窓(はめ殺し窓:枠とガラスを固定し、開閉できない窓)や縦のすべり出し窓(室外側へすべり出しながら開く窓)にするとコストの抑制に効果があります。考えている窓が、部屋に必要な窓なのか、その数とサイズを検討してみてください。その上で、外から見たバランスをイメージすることも大切です。

5.床面積を減らす

床面積を減らすと、家全体が小さくなるので、ローコストにつながります。床面積が同じ場合、3階建てよりも2階建ての方がローコストです。

単純に坪単価を減らした計算をすると、以下のようになります。

坪単価とは、建物の床面積1坪(約3.3平方メートル:畳2枚分)あたりの建築コスト

ただし、とにかく小さくすれば良いというわけではなく、不必要に大きいスペースをチェックしながら間取りを考えることが重要です。例えば、長すぎる廊下や広すぎるホールといったスペース、利用目的がはっきりしない「客間のための和室」や「予備の部屋」を見直すと良いでしょう。

ローコスト二世帯住宅を建てる前の心構え

ローコストで二世帯住宅を建てるためのポイントについて解説しましたが、家族全員でやっておくことや考えておくこともあります。

そこで、ここではローコスト二世帯住宅を建てる前の心構えについて、解説します。

  • 家族で意見交換をたくさん行う
  • こだわりたい希望を決めておく
  • 補助金や助成金の有無を自治体に確認する

家族で意見交換をたくさん行う

二世帯住宅を建てる際には親世帯と子世帯が別々で検討するのではなく、家族全員で意見交換をすることが、重要です。

なぜなら、それぞれの世帯はライフスタイルが異なった状態で1つの建物に住むことになるため、行き違いや勘違いがあるとお互いにとって大きなストレスになるからです。

そのため、まずはしっかり家族で話し合い、理想の二世帯住宅についてイメージを共有しましょう。

こだわりたい希望を決めておく

家族で話し合いをする際には、全員の要望を確認しましょう。

間取りのイメージや水回りの位置、各居室の使い方、生活する時間など、家族一人一人が最適となる生活空間を決める必要があります。

そこで、まずは全員のこだわりポイントを確認し、同時に成立するポイントから優先的に採用しましょう。

そうすることで、家族全員が納得できる二世帯住宅を建てることができます。

補助金や助成金の有無を自治体に確認する

二世帯住宅を建築する際には補助金や助成金を受けることができるため、建築するエリアの自治体に事前に確認しましょう。

なお、二世帯住宅の建築で受けられる代表的な補助金・助成金制度として、「すまい給付金」と「地域型グリーン事業」があります。

ただし、それぞれの制度を受けるためには、次に挙げる要件をクリアすることが必要です。

そのため、制度を受けられる二世帯住宅であるかを建築会社に確認し、必ず要件を満たす仕様の二世帯住宅を建てましょう。

 

制度名特徴と適用要件補助金額・助成金額

すまい給付金

〈特徴〉

消費税増額による住宅購入資金の圧迫に対する支援事業。

〈適用要件〉

  •  床面積50㎡以上
  • 第三者機関の検査をクリア
  • 現金購入の場合は50歳以上
  • 収入が775万円以下

最大50万円

地域型グリーン事業

〈特徴〉

国が指定している事業者を利用し、高機能住宅を建築する際の補助金・助成金制度。

〈適用要件〉

  • 木造住宅
  • 完全分離ではない二世帯住宅
  • 地元の木材を半分以上使用
  • 高気密・高断熱住宅
  • 指定した事業者を利用
工事費の10%かつ165万円がベース。

これに加え、地域の木材などを使用することで20万円加算され、二世帯住宅であればさらに30万円加算となる。

参考資料:国土交通省「すまい給付金」

参考資料:一般社団法人「木を活かす建築推進協議会」

二世帯住宅を建てるハウスメーカーの選び方

二世帯住宅を建てる際には様々なハウスメーカーを検討することになりますが、選び方にポイントはあるのでしょうか。

ここでは、二世帯住宅を建てるハウスメーカーの選び方を詳しく解説します。

  • 二世帯住宅の実績が多い会社を選ぶ
  • ローコストでも性能や耐震性を確認
  • メンテナンスやアフターフォローについて確認する
  • 担当営業マンの知識や相性を確認する

二世帯住宅の実績が多い会社を選ぶ

二世帯住宅をイメージ通りに建てるためには、多くのノウハウが必要です。 

つまり、二世帯住宅の建築で失敗しないためには建築実績が多いハウスメーカーを選ぶ必要があるといえます。

 そのため、ハウスメーカーを選定する際には必ず建築実績を確認し、これまで建築した事例を提案してもらいましょう。

ローコストでも性能や耐震性を確認

二世帯住宅は費用を抑えることが重要ですが、気密性や断熱性といった性能や、耐震性についてはコストダウンしない方が良いでしょう。

しかし、オプションで後から費用がかかるのであれば、資金計画を変更しなければなりません。 

このような失敗をしないためにも、必要な性能や耐震性はデフォルト仕様なのかどうかを、チェックしましょう。

メンテナンスやアフターフォローについて確認する

ハウスメーカーによっては「長期保証」を挙げており、メンテナンス頻度が低いことをアピールポイントにしていることがあります。

しかしこうした保証制度は、ハウスメーカーが指定した工事を定期的に実施した場合のみ適用となることが多く、注意が必要です。

 また、アフターフォローについてもパンフレット上では非常に手厚い内容であっても、実際には近くに営業所がなく対応してくれない、というトラブルもあります。

このことからも、メンテナンスやアフターフォローについては詳細まで確認することが必要です。

担当営業マンの知識や相性を確認する

ハウスメーカーは大手であっても、担当営業マンによって「完成する家のイメージ」が大きく異なります。

そのため、営業マンの知識が少ない場合や相性が合わないことで、ハウスメーカーを変えることもあります。

しかし、ハウスメーカーの検討を営業マンの対応力で決めてしまうのもリスクとなるため、営業マンに問題があると感じた場合には、担当を変えてもらうよう依頼しましょう。

ローコスト二世帯住宅のメリットとデメリット

ここでは、ローコスト二世帯住宅を建てる際のメリットとデメリットについて、解説します。

納得のいく二世帯住宅を建てるためにも、事前にチェックしましょう。

ローコスト二世帯住宅のメリット

ローコスト二世帯住宅のメリットは、次のようになります。 

  • 子育てしやすい
  • 介護がしやすい
  • 家族全員で暮らすことができる
  • ランニングコストを抑えやすい

ローコスト二世帯住宅のメリットは、親世帯と子世帯が1つの建物で暮らすことができる、という点にあります。

その結果、育児や介護などお互いが助け合いながら生活することが可能です。

また、料理や洗濯などを片方の世帯で一緒に実施することで、ランニングコストを抑えることもできます。

このように二世帯住宅には、単世帯にはないメリットが豊富です。

ローコスト二世帯住宅のデメリット

ローコスト二世帯住宅のデメリットは、次の通りです。

  • 生活音が気になる
  • プライバシー空間が確保しにくい

二世帯住宅は2つの世帯が隣接、もしくは上下階で暮らすことになるため、どうしても生活音が聞こえてしまいます。

そのため、ライフスタイルが大きく異なる場合には、気を遣う必要があるでしょう。

また、生活音が聞こえるということは来客時や電話の話し声なども聞こえる可能性があり、プライバシー空間が確保しにくいという点も、大きなデメリットといえます。

ローコストの二世帯住宅をコストダウンする方法

ここまで、ローコストで二世帯住宅を建てるポイントを紹介しましたが、二世帯住宅のコストをさらに下げる方法があります。特に押さえておきたいコストダウンの方法は、以下の3つです。

  1. 設備や内装のグレードを変更する
  2. できることは自分で対応する
  3. 既製品を上手に活用する

1.設備や内装のグレードを変更する

特に押さえておきたいコストダウンの1つ目の方法は、設備や内装のグレードの変更です。この方法は、建築コストの調整のためによく行われます。グレードによって、価格帯が大きく変わります。要望の設備があれば、他のメーカーで同じようなタイプがないか探してみましょう。

必要な機能を重視し、最新の設備にこだわらないようにするのもコストダウンの1つの方法です。内装の変更は部屋の全てではなく、一部のグレードを変更し、こだわりたい箇所はグレードを上げてみるのも良いでしょう。

2.できることは自分で対応する

2つ目の方法は、できることは自分で対応することです。照明家具やエアコンなどの設備は、購入から設置の手配まで自分で行うと、思いのほかコストダウンできます。また、玄関アプローチ、ウッドデッキの設置、庭の整備などのコストダウンで有効なのはDIYです。労力と時間がかかりますが、自分で準備した方が材料費は比較的安価に収まります。二世帯で協力しながら進めていくと、マイホームに愛着が湧いてくるのではないでしょうか。

3.既製品を上手に活用する

3つ目の方法は、家具をフルオーダーせず、既製品を上手に活用することです。オーダー家具は、部屋のサイズや目的に合わせて作られるため、インテリアが統一できるというメリットがあります。しかし、高級な材料で作られる点や運搬や設置までコストは高くなります。また、造り付けの家具となると、床や壁、天井などに固定するため移動できません。

一方、既製品であれば、コストを抑えられる上に、模様替えや買い替えが簡単です。既製品を上手に活用し、こだわりたい部分をオーダー家具にするよう、建築会社に相談してみましょう。

ローコストで二世帯住宅を建てる場合の価格事例

ローコストで二世帯住宅を建てる場合、どれくらいの広さで、いくらかかるのでしょうか。東京都の板橋区、調布市の事例2つをもとに解説します。

1.板橋区・延床面積 約60 坪の場合【合計7,300万円】

板橋区で約60坪の場合、約7,300万円で下記のような二世帯住宅を建てることができます。下記でご紹介する建設例は、木造でありながらも独自の「ツーバイネクスト構法」によって自由度の高い設計を実現し、木を生かしたデザインにしています。3階建てオール電化で、二世帯それぞれの空間もありながら家族全員がくつろげるリビングが特徴的です。

三菱地所ホーム

担当:駒沢S1HG所属 加藤 学

問い合わせ先:03-3703-2205

URL:https://www.mitsubishi-home.com/homegallery/hg_komazawa1/

板橋区

延床面積 約60 坪

建物本体工事 6,500万円

付帯工事 500万円

諸費用 300万円

合計 7,300万円(税別)

2.調布市・延床面積 約50 坪の場合【合計3,200万円】

調布市で約50坪の場合、約3,200万円で下記のような二世帯住宅を建てることができます。下記で紹介する建設事例では、新時代冷暖システム『Z空調』を搭載しており、夏も冬も部屋間の温度差が少なく、常に快適な温度で過ごすことができる特徴があります。

会社名 : 株式会社 桧家住宅

担当者 : 小平展示場所属 山田 稜

問い合わせ先:042-470-3336

URL:https://www.hinokiya.jp/exhibition_hall/38836/

調布市

延床面積 約50 坪

建物本体工事 2,700万円

付帯工事 300万円

諸費用 200万円 

合計 3,200万円(税別)

※外構工事・地盤改良工事等は別途となります。

※上記費用は概算となります。

上述した事例の詳細については、各担当者にお問い合わせください。

ローコストで理想の二世帯住宅を実現するには?

ローコストで二世帯住宅を建てるなら、コストダウンの方法を知っておくと、優先したい要望が見つかるでしょう。ですが、コストばかりに目を向けていては、理想の二世帯住宅を実現するのは難しいです。

それでも、楽しみながら、納得できる理想の家づくりをしたいと考える方は多いのではないでしょうか。そういった方におすすめしたいのが、株式会社ランディックスが運営する注文住宅マッチングサービス「sumuzu(スムーズ)」です。

理想のオーダーメイド住宅が可能

sumuzuはお客様の家づくりを中立的な立場からサポートする専門家集団です。工務店・ビルダー・ハウスメーカー・設計事務所の選び方から、お客様のご希望に合わせた間取り計画・工事見積りの減額調整まで、家づくりに関する全ての悩みについてご相談いただけます。

なお、建築会社は、厳格な審査を通過した信頼できるハウスメーカーや工務店、建築家などが参加しています。(建築会社一覧)。

住宅に関する様々な面もフォロー

資金計画を立てる上で重要になる住宅の希望条件、予算に加えて、住宅ローンの紹介といった資金面の相談ができます。また、見逃しがちな火災保険やアフターサービス、引っ越しについても相談可能です。さらに、インテリア、エクステリア、セキュリティなどにも対応しておりますので、住宅に関する様々な面をフォローさせていただきます。

なお、これらの相談、ヒアリングなどは、チャット、メール、電話などで対応可能です。具体的な話は面談が必要ですが、オンラインによる面談(Zoom)にも対応しています。忙しい方にも安心の対応です。

二世帯住宅でコスト抑制にこだわるべきでない点

二世帯住宅では、建築コストを抑えたいと考えても、ローコストにこだわるべきでないポイントがいくつかあります。そのポイントを踏まえることで、安心・安全に住み続けることができるでしょう。

二世帯住宅でローコストにこだわるべきでないポイントは、以下の通りです。

  1. 耐震対策の工事
  2. 外壁
  3. 断熱材

1.耐震対策の工事

近年、大きな地震によって多数の被害が生じていることからも、耐震対策の工事に関するコストを抑え過ぎるのは賢明ではありません。地震に耐えられる家にするには、予算に合わせて最適な耐震対策を行いましょう。建設会社で提供する新築住宅の中には、全棟耐震等級3を取得しているという会社も存在します。また、注文住宅の場合は、住宅の耐震等級を決めることが可能です。詳しくは、依頼する建築会社に確認することをおすすめします。

耐震等級とは建物の耐震性を判断する目安

耐震等級とは、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」により定められた、「地震に対する建物の強度を判断する目安」の1つです。加えて、住宅の品質を分かりやすく表示するため「住宅性能表示制度」が運用されました。耐震等級は3つに分けられ、数字が大きいほど耐震性が高くなります。

<住宅性能表示制度・耐震等級>

 耐震等級1耐震等級2耐震等級3
耐震等級100年に一度程度の地震で倒壊、崩壊しない程度耐震等級1の1.25倍で倒壊、崩壊しない程度耐震等級1の1.5倍で倒壊、崩壊しない程度
適用範囲一戸建て住宅または共同住宅病院や学校などの公共施設消防署や警察署など防災拠点となる建築物

引用元:日本住宅性能表示基準|国土交通省

参照元:住宅の品質確保の促進等に関する法律の概要|国土交通省

「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」報告書のポイントによると、2016年4月の熊本地震では、震度6または7の地震が2度にわたり発生したにも関わらず、耐震等級3の建物において9割近くが無被害、残りも軽微な被害に留まりました。二世帯が、安心して住み続けるには、木造一戸建て住宅に耐震等級3を検討してみると良いでしょう。

2.外壁

外壁もローコストにこだわるのは避けるべきです。外壁には、生活空間を雨風から守るという役割に加えて、外部からの騒音の遮断や遮熱といった性能を果たせるものでなければなりません。また、外観の印象を左右するので、劣化が激しいと美観を損ねることになります。ゆえに、平均的な外壁であっても、建築後10年~20年の間隔でメンテナンスが必要になるのです。

安価で低品質な外壁は耐久性が低く、劣化を早める可能性が高まります。建物の内部まで損傷がおよぶと、メンテナンス時の費用も高額になりがちです。価格やデザインとともに耐久性をしっかりチェックしましょう。

3.断熱材

断熱材のコストを抑えることにこだわるのも避けましょう。断熱材はコストを抑えるよりも、むしろコストをかけるべき箇所です。断熱材は、その名の通り熱を内部に伝えるのを防ぐための材料なので、快適な家づくりには欠かせません。冷暖房で生じる室内外の温度差による結露やカビを防ぎ、住宅を長持ちさせることにつながります。当然ながら、冷暖房の効率も上がる点も品質の良い断熱材を使うメリットといえるでしょう。

ローコストで二世帯住宅を建てる際の注意点

二世帯住宅を建てる際には、各世帯それぞれの居住スペースと設備を整える必要があります。お互いに要望を出し合うだけでは、ローコストを実現するのは難しくなるでしょう。ここでは、ローコストで二世帯住宅を建てる際に注意する4つのポイントを解説します。

  1. 予算の上限を決める
  2. 要望の優先順位を明確にする
  3. 複数の会社から相見積もりをとる
  4. 初期費用だけでなく維持費用も確認する

1.予算の上限を決める

ローコストで二世帯住宅を建てる際には、予算の上限を決めておきましょう。建築会社とのヒアリングでも、真っ先に尋ねられるのが予算です。予算に応じた建築プランを提示してくれるので、予算の上限を決めておかなければなりません。

ただ、できるだけローコストで建てたい場合は、予算上限より少なめに伝えておくのも有効です。コストを抑えて建てたい点も伝えておくと良いでしょう。

2.要望の優先順位を明確にする

両世帯で要望を出し合い、それらの要望に優先順位をつけることも、ローコストで二世帯住宅を建てる際に欠かせないポイントです。お互いに、細かい部分まで要望を出し合いましょう。住宅展示場の見学も1つの方法ですが、現在の住まいの良い点、改善したい点から考えると、新しい住まいのイメージが具体的になります。

多くの要望を叶えようとすると予算がオーバーしてしまうため、どの部分に予算をかけるのか、優先順位をつけるのがおすすめです。予算をかける部分と抑える部分を明確にすることで、納得できる二世帯住宅を建てることができるでしょう。

3.複数の会社から相見積もりをとる

見積りは、複数の会社から相見積もりをとりましょう。相見積もりを取ることで、相場価格が分かるだけでなく、各社の強みや対応の違いもみえてきます。また、相見積もりを取るときのポイントは、同じ内容(条件)で依頼をすることです。内容がバラバラでは、項目と価格を正しく比較できません。

オプション料金や一式といった表示は、明細を求めてみるのも良いです。同じ項目を比較すると、どの会社が割安なのか・なぜ割高になるのかがはっきりとしてくるでしょう。

4.価格だけでなく維持費用も確認する

初期費用だけでなく、維持費用までもコストダウンできるかを確認することも重要なポイントです。初期費用を減らすために、設備などのグレードを下げた場合、かえって維持費用が高くなるということがあります。せっかくローコストで二世帯住宅を建てても、維持費用が高くなれば、コストダウンした意味がありません。

耐震対策の工事や外壁、断熱材に対して、価格ばかりに目を向けていると、後々のメンテナンスが高額になりやすいように、他の設備も価格が安いけれど消費電力量が多く、電気代の負担が大きくなるということはよくあることです。価格が上がっても、グレードの高い設備を選ぶ方が良かったと後悔しないためにも、維持費用の確認を欠かさないようにしましょう。

最後に

本記事では、ローコストで二世帯住宅を建てるポイントやさらにコストダウンする方法、ローコストにこだわるべきではないポイントなど、建築コストに焦点をあてて解説しました。できるだけコストを抑えたいけれど、こだわりも実現したいと考える方が多いでしょう。快適に暮らすには、耐震対策の工事や外壁、断熱材はコストより品質を重視し、住宅の性能を落とさないことを前提にコストダウンを図ると良いのではないでしょうか。時間や資金にゆとりをもって計画を進めてみてください。

監修者からのコメント

渡辺知哉

二世帯住宅では使用する水量が必然的に多くなるため、水道引込管の口径を単世帯住宅よりも大きく取る必要があります。一般的な家庭の水道引込管では20mmという規格サイズのため、このような場合は25mmの水道引込管に設置しなおす必要性が出てきます。

特に、二世帯住宅を土地探しからスタートするのであれば、25mm口径の水道菅が設置されている土地を選ぶだけで、無駄な工事費が100万円ほど浮くこともあります。その他、水回りをまとめて設置することで分配管が短くなりコストダウンに繋がったり、間取りを上下階合わせることで構造材を抑えて、コストダウンに繋がることもあります。

ここで列挙した内容はコストダウンに関するほんの一部に過ぎませんが、細かい部分にまでしっかりと目を配って設計することで小さなコストダウンが大きなコストダウンへと繋がっていくことでしょう。

<関連記事>

二世帯住宅のメリットとは?活かす方法とデメリットを回避する手段を解説

二世帯住宅の予算はどのくらい?坪数や種類別の概算をご紹介

二世帯住宅に活用できる補助金・住宅ローン控除を注意点とあわせて解説